歯周病がやばい!
ぐらぐらになってはじめた歯科医院探し
11 かかりつけ歯科医院との出会い?
―自らの選択への覚悟―

 歯に激痛が走ってから早3週間が経過した。痛み、違和感にも大分慣れたが、夜半に目が覚め、寝つけなることもしばしばある。早いところ治療を済ませ、従来の生活を取り戻したかった。

 昨晩、最終的に選び出したのは、大学院で歯周病学を専攻した40歳前後の医師が開業した歯科医院である。かかりつけの歯科医院として、当初に掲げた条件にマッチしていた。開院まもない時間に、電話を入れる。一週間ほど先の予約が取れた。

 待ちに待った診察の日が訪れる。ここ一か月で三つ目の歯科医院ということもあり、診察でするであろうことは心得ていた。レントゲン撮影、歯周ポケット測定、ブラッシング指導……。内容は大差なかったが、順序は大きく異なっていた。

 一日で大方をこなした第一の歯科医院を引き合いに出せば、問診、レントゲン撮影、診断、触診、歯周ポケット測定、ブラッシング指導の順となる。この日は、問診、歯周ポケット測定、レントゲン撮影、現状の写真撮影、触診、診断、歯石除去、ブラッシング指導だった。

 時間は、第一の歯科医院が2時間弱、この日はきっかり1.5時間である。短い時間で、より盛りだくさんな内容をこなしている。だからといって、雑さは微塵も感じられなかった。限られた診療時間を効率よく使っているといった方が的確だろう。

 作業の効率化を端的に示しているのは、電子化である。第一、第二の歯科医院では歯周ポケット測定の記録は手書きだったが、第三の歯科医院ではタブレットを用いていた。測定が終われば、即座に結果がモニタに表示され、医師、歯科衛生士、患者で共有される。

 細かなことに気付けるようになったのは、第一、第二の歯科医院での経験のおかげである。歯科医院選びは困難をきわめたが、その過程は必ずしも無駄ではなかった。病状の説明なども、一回目より二回目、二回目より三回目の方が滑らかにいえてるような気がする。

 診療内容の細かな差はあるが、いずれの医師も病状の診断そのものは変わらなかった。この日も、ぐらぐらの歯は抜歯、虫歯になっている親知らずも将来的には抜歯が望ましい、という診断である。

 第三の歯科医院では、ぐらぐらの歯の抜歯後に可能な処置も説明してくれた。入れ歯のメリット、デメリット、親知らずを移植するという方法もありうるとのことである。豊富な選択肢の提示に満足する。翌週の抜歯を決断した。

 抜歯の日はすぐ訪れた。歯がぐらぐらになって5週間後の出来事である。その日は、前回の歯石除去の効果を診るため、歯科衛生士による歯周ポケット測定からはじまった。その結果でもって、今後の治療方針を再確認しているようだった。

 続いて抜歯に入る。麻酔の効き目を確認し、抜きにかかる。歯が抜けた時だったのだろう、強烈なにおいが鼻についた。これが歯周病の正体なのかもしれない。抜歯後は痛み止めとともに、歯周病治療を視野に入れた抗生物質が処方された。

 抜歯の処置の良し悪しは、第一、第二の歯科医院と比べようがない。ただ、自らの選択を信じるのみである。次の予約は、二週間後だった。ここからは、歯周病の改善に向けた治療へと入っていくことになるのだろう。

 抜歯の翌日、第一の歯科医院に電話した。最初の診療の際に取った予約をキャンセルするために。未来のことはわからないが、現時点では第三の歯科医院をかかりつけにすることに決めた。数十年後に、ここで間違いなかったと思い返せることを期待して。(つづく

にほんブログ村 病気ブログ 歯・口・喉の病気へ

歯周病がやばい!
ぐらぐらになってはじめた歯科医院探し

<目次>

01 プロローグ―歯科医院探しに求めたもの―
02 歯科医院を選ぶ難しさ―病因、病名、病状がわからない―
03 決め手に欠いた最初の歯科医院選び―公式サイト、口コミサイトからの消去法―
04 ファーストオピニオンを求めて―医師による診断を知る―
05 ファーストオピニオンからの収穫―最初の受診で学んだこと―
06 迷走する第二の歯科医院選び―決め手のなさに、ぶれる選択基準―
07 丁寧な第二の歯科医院―隠れ家レストランならぬ、隠れ家歯科医院―
08 第二の歯科医院への揺らぎ―あまりにも突然すぎた自費診療宣告―
09 そして、振り出しへ―考えさせられたかかりつけ歯科医院としての見きわめ―
10 再三の歯科医院選び―無意識に行っていた根拠のない選択からの脱却―
11 かかりつけ歯科医院との出会い?―自らの選択への覚悟―
12 エピローグ―歯周病治療から見えてくる現代日本人を取り巻くネット環境と医療制度の問題点―

PVアクセスランキング にほんブログ村