歯周病がやばい!
ぐらぐらになってはじめた歯科医院探し
08 第二の歯科医院への揺らぎ
―あまりにも突然すぎた自費診療宣告―

 歯に激痛が走ってから、すでに3週間を迎えようとしている。第二の歯科医院で、ぐらつきのある歯の治療に加え、歯周病の治療にも専念する決意をほぼ固めた。歯科医院選びから解放されると思うと少しゆとりもでき、心なしか診察に向かう足取りも軽い。

 3回目の診療も、これまでと同じく穏やかにはじまった。すでに治まっていた歯茎の腫れの状態を確認した後、歯周ポケットの測定を行う。ファーストオピニオンで経験していただけに緊張も少ない。異なっていたのは、歯科衛生士ではなく、医師自らが行ったことである。

 歯肉炎からくると思われる痛みに耐えながら、耳には5、4、5、5、3、5、5……、という声が届く。測定値は、ファーストオピニオンと大差ないようだ。これが学校の成績だったら、どんなに嬉しかったことか。

 測定が終わり、歯科衛生士が記入した手書きの測定結果をもとに、医師が状況を説明する。結果の見方を解説しながら、歯周ポケットが深いこと、出血がかなり見られることが指摘された。やはり歯周病が進行しているという事実に変わりはない。

 この状況を踏まえ、通院患者の写真を見せられた。30年近く前と最近の写真である。リアルな写真を前にして、症状の解説は頭に入ってこなかったが、歯が残っていることに安堵した。それにしても、30年前から現在と遜色ないレベルの記録をとっていることに驚く。

 診察時間の1時間を迎えようとしていたころ、ついにその時は訪れた。歯周病の集中治療を行うための自費診療が提示されたのだ。治療内容と料金、注意点が書かれた紙を見せられる。次回の来院時に、同意のサインをしてもってくるよう促された。

 まさか、自費診療での治療になるとは思っていなかっただけに動揺した。真っ白になった脳裏には、キターーー、という文字が右から左へ、次から次へと流れていく。その後の説明はよく覚えていないが、これまでに反して、説明はおざなりだった印象がある。

 断片的な記憶をたどれば、料金の説明に偏っていた気がする。大まかな期間の提示はされたものの、治療そのものや通院の回数などには、ほとんど触れられなかったようにも思う。一方で、歯周病が改善しなかった時の責任を回避するような説明は妙に覚えている。

 本ブログでも紹介した、天野敦雄『長生きしたい人は歯周病を治しなさい』からわかるように、歯周病は根治しない病である。歯科医院の治療以外に、日々のブラッシングなども重要になってくるので、当然なのかもしれない。でも、だからこそ「丁寧」な説明が欲しかった。

 診療時間が過ぎていたせいか、書面をよく読んで、の一点張りでまともに質問を受け付けようとしない。質問は電話で、ともいう。治療に関する質問を、電話で受付を介してできるはずがないことは容易に察しがついた。

 足りない頭をフル回転させ、浮かんできた質問の中で最も重要だと思われる質問をぶつけてみる。今回の集中治療が終わった後の通院についてである。これが、後々の判断にかなり利くことになる。

 茫然自失のまま、三回目の診療を終えた。当面の最後と思われる保険診療の会計を済ませる。自費診療となる歯周病治療の案内文書は丁寧に封筒に入れられ、改めて領収書とともに手渡された。行きの足取りの軽さからは一転、重い足取りで歯科医院を後にする。

 診療は午前だったので、半休した会社へと向かった。道すがら、今日の診療で医師が口にした言葉の数々が頭の中を渦巻く。会社に着くなり、同僚に向かって口にしたのは、キターーーという言葉だったように思う。

 その日の仕事はまったく手につかなかった。だからといって、仕事中に歯科医院探しをすることは憚られる。休憩時間には、同僚に歯科医院での自費診療の内容や料金のことを聞きまくった。帰宅の電車内では、再び歯科医院のサイトを食い入るように眺めていた。(つづく

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歯周病がやばい!
ぐらぐらになってはじめた歯科医院探し

<目次>

01 プロローグ―歯科医院探しに求めたもの―
02 歯科医院を選ぶ難しさ―病因、病名、病状がわからない―
03 決め手に欠いた最初の歯科医院選び―公式サイト、口コミサイトからの消去法―
04 ファーストオピニオンを求めて―医師による診断を知る―
05 ファーストオピニオンからの収穫―最初の受診で学んだこと―
06 迷走する第二の歯科医院選び―決め手のなさに、ぶれる選択基準―
07 丁寧な第二の歯科医院―隠れ家レストランならぬ、隠れ家歯科医院―
08 第二の歯科医院への揺らぎ―あまりにも突然すぎた自費診療宣告―
09 そして、振り出しへ―考えさせられたかかりつけ歯科医院としての見きわめ―
10 再三の歯科医院選び―無意識に行っていた根拠のない選択からの脱却―
11 かかりつけ歯科医院との出会い?―自らの選択への覚悟―
12 エピローグ―歯周病治療から見えてくる現代日本人を取り巻くネット環境と医療制度の問題点―

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